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第182話 あたしの希望

Penulis: 雨音休
last update Tanggal publikasi: 2026-09-24 06:03:55

 夜。

 もう我慢できないわ。

 未だにルスプルのカジノにいた。照明が室内を華やかに照らしている。スロットの賑やかな音がうるさくて耳がおかしくなりそうだった。だけどそんなことはどうでもいい。

 恋人のトウマはスロットにまだのめり込んでいる。一日中プレイしていた。とても鼻息が荒く、目はうつろである。スロットのレバーを引くこととボタンを押すこと以外に興味が無いようだった。

 スリーセヴンは一度も無かった。

(もういい加減にして)

:トウマさん、まだスロットやっているし……。

:配信を見ているこっちの身にもなってくれ。

:違う配信行きますね。

 ベルフラウは覚悟を決めた。

 トウマの肩をぽんぽんと叩く。

 彼が煩わしそうに振り返った。

「何だ? 真帆。今、良いところなんだが」

「ねえ、ダーリン。実はね、もっと効率良くヴァルを稼ぐ方法があるの」

「何だと? &hell

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  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第182話 あたしの希望

     夜。 もう我慢できないわ。 未だにルスプルのカジノにいた。照明が室内を華やかに照らしている。スロットの賑やかな音がうるさくて耳がおかしくなりそうだった。だけどそんなことはどうでもいい。 恋人のトウマはスロットにまだのめり込んでいる。一日中プレイしていた。とても鼻息が荒く、目はうつろである。スロットのレバーを引くこととボタンを押すこと以外に興味が無いようだった。 スリーセヴンは一度も無かった。(もういい加減にして):トウマさん、まだスロットやっているし……。:配信を見ているこっちの身にもなってくれ。:違う配信行きますね。 ベルフラウは覚悟を決めた。 トウマの肩をぽんぽんと叩く。 彼が煩わしそうに振り返った。「何だ? 真帆。今、良いところなんだが」「ねえ、ダーリン。実はね、もっと効率良くヴァルを稼ぐ方法があるの」「何だと? ……嘘をつくな。カジノこそが至上だ」「違うわ。ダーリンが知らないだけなのよ。本当に、もっと簡単にお金を稼げるのよ」「……マジか? どんな方法だ? 言ってみろ」「ついてきなさい」 ベルフラウは歩き出す。 だけどトウマは立ち上がらなかった。舌なめずりをしてスロットのレバーをまた引く。 ベルフラウはまたトウマのそばに戻り、その頭をぶっ叩いた。「早くついてきなさい!」「痛っ! 何だお前。殴ることないだろ」「ほら、早くコインを換金してきなさい!」 トウマは舌打ちをした。「……良いところだったのに」 彼がコインのケースを持って交換所のカウンターへと向かう。そこでコインをヴァルに交換した。50000ヴァルほどを入手している。これなら、ラグナシアでバフ料理を売った方が断然稼げると思った。 二人でカジノを出る。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第181話 昨夜はごめん

     ノーファン村の山を登っていた。 登山道の両脇には木々や藪が鬱蒼と茂っている。木の葉の合間からは太陽の光がうっすらと差し込んでいた。エゾハルゼミが「ミョーキン、ミョーキン。ケケケケケ」と鳴いている。落ち葉の多い地面を踏みしめて歩き続ける。腐葉土の匂いがした。 ラグナシアではないが、気温はちょっと高かった。もうすぐ夏が始まろうとしている。 アイギスはステータス画面から製菓カードを取り出して「オープン」と唱えた。ソフトクリームを食べ始める。これで暑さが気にならなくなるはずだ。 だけど、(ニキはどこへ向かっているの?) パーティを組んでいる。 だけど三人とも、配信は切ってあった。 秘密の場所へ向かうのだろうか? ニキのまたがるキャルル丸の尻がふりふりと揺れている。途中、現われるモンスターをニキがキャノンで仕留めている。 やがて登山道をはずれて山道を進んだ。その先に洞窟が見えてくる。クジラが大口を開けているような不気味な穴だった。 ニキがこちらを振り返る。「晴恋、アイギス、今からこの洞窟に入るさ」「分かりました」「この洞窟には何があるの?」 アイギスが首をかしげつつ尋ねる。 ニキは意味ありげに口の端をつりあげた。「それは、到着してからのお楽しみさ」 彼がキャルル丸の肩を叩いた。白竜がまた歩き出す。洞窟へと進入した。(何なの?) アイギスは疑問に思いつつ、キャルル丸の揺れる尻を追いかける。 中は暗く、晴恋がランタンを取りだして点灯させた。 洞窟内に出てくるモンスターはスケルトンとオークメイジの二種類だった。現われるたびにニキとアイギスで倒した。そして十数分ほど歩き、地下一階への階段にたどり着く。ニキがキャルル丸から降りた。「みんな、食事にするさ」 ステータス画面からニキがカレーライスを取り出す。自作品のようで、Aランクの中辛だった。差し出されたのでアイギスは受け取る。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第180話 Another chance

     翌日。 ルスプルのカジノだった。 魔導具のピカピカとした照明が室内を照らしている。床は丸い模様をしたグレーのマット敷きだった。カジノの一階にはスロットが背中合わせになってずらりと並んでいる。5列以上はありそうだ。スロットからは豪華でノリの良いメロディーが流れている。 今、ベルフラウはとんでもなく困っていた。恋人がスロットに夢中になっているのである。 少し離れた席では、男性プレイヤーがスロット台をぶっ叩いていた。「俺のヴァルを返せ!」と叫び声をあげている。どうやら大負けしたようだ。このカジノはチョコレートパフェの製菓カードを使わなければ、勝つことは難しい。 チョコレートパフェの効果……満腹度30%回復。幸運上昇。効果時間30分。 目の前にいるトウマがパフェをスプーンで頬張りつつスロットのレバーを引いた。だらしなく足を組み合わせている。三つのボタンを押すとチェリーが揃った。目押ししているようだ。スロットからコインが吐き出される。(どうしたらいいの?) やめさせなければいけない。 ドクロが止まれば破産である。 昨夜にみんなから預かったヴァルだけは、今朝トウマはすべて返却していた。:ギャンブル依存症w:団長、カジノに逃亡なうw:……見損なった。 ベルフラウがトウマの両肩を掴んで揺さぶる。「ダーリン、もうやめて! ドクロが当たるわよ」「うるさいぞ! 真帆。俺はようやく分かったんだ。このゲームはつまりカジノだ! チョコレートパフェを食べれば、いくらでも稼げるんだ! モンスターを狩る必要は無い。次の町へ進むことも不要だ!」「ユウマ、どうしちゃったの!? これから勉強をして弁護士になるんじゃないの!?」「いや、俺の考えでいくと、弁護士になる必要は無い! そんなことよりも、ここでスロットをずっと回していればぼろ儲けだ! 楽しく楽に稼ぐことができる! つまり、勝ち組だ!」「……あのねぇ、ユウマ」

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第179話 団長失格

     ノーファン村の広場のベンチにトウマは座っていた。 辺りには人々の賑やかさが戻っている。各々の同伴者との会話に花を咲かせていた。その中でぽつんと佇んでいるトウマの顔には、異様な影が落ちていた。空には満天の星が広がっている。ちらちらと瞬いており、星同士が語り合っているようにも映る。だが、そんな美しさを楽しめるような精神状態では無かった。 トウマの両手にはウミの日記がある。 アストラブールへ到着した日にウミが買ったものだった。 ステータス画面のほのかな灯りを頼りに日記を読む。『4月27日。 今日から日記をつけることにしたです! 今日はご主人様とニキさんと一緒に海底の村へ行きました。 海の中の植物は、地上の植物とは違い、不思議な形をしています。 イワシの群れが渦を作っている光景がありました。 ダンゴウオが岩の上を這っていました。 途中から師匠も海底へ来てくれました。 師匠の作ったエンディコマグロの角煮で、月海竜ダルシャランをやっつけました。 そのおかげで、マーマン村長さんが、釣り竿をくれました。 楽しかったです』 震える指でページをめくる。『4月28日。 今日はアストラブールの闘技祭の前夜祭でした。 ポロポージュの屋台の飲食スペースでアイちゃんに再会しました。 一緒にお祭りを見て回りました。 美味しい食べ物をいっぱい食べました。 アイちゃんが銀のイヤーカフの片方をくれました。 高台で一緒に打ち上げ花火を眺めました。 親友になりました。 楽しかったです』 トウマの瞳から一筋のしずくが伝う。 鼻の穴がひくひくと震えた。 ページをめくる。『4月29日。 今日はついに、アストラブールの闘技祭の日でした。 ご主人様と一緒に出場しました。 悪のおじさん、クレナイを倒しました。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第178話 大好きでした

     ゲームから強制ログアウトしていた。 我が家の自室のベッドにアクナは戻る。 デバイスゴーグルを取ると、すぐそこに息子と娘が立っていた。二人とも幼稚園児である。息子が話しかけた。「お母さん、起きた?」「起きたの?」 娘も心配そうな声を響かせる。 アクナは上半身を起こしてすまなそうな顔をした。「ハルト、イオリ、すまん、いま夕ご飯を作るからな」「お母さん、もうゲームしちゃ嫌だー」 ハルトの目には涙がいっぱいたまっていた。アクナに近づいて両手を伸ばす。 寂しい思いをさせてしまったのだろう。 アクナはベッドに腰掛けてハルトを抱きしめた。「すまなかった。もうゲームは二度としないからの」「本当?」 ハルトが頬を膨らませて聞いた。 イオリもゆっくりと歩み寄った。「あたちもやだ!」 アクナは両手を大きく開いて二人の肩を抱く。「悪かった。ゲームは今日で引退じゃ、許せ」「ママ、引退って何?」「引退って?」「もうゲームをやめるということじゃよ」「本当? ママ、ゲームを引退して!」「引退してほちいの」「ああ。これからは寂しい思いをさせんからな。おおよしよし」 アクナは二人の肩をひとしきりさすった。それから立ち上がる。「よし、ハルト、イオリ、これから美味しいご飯を作るからな。一緒にダイニングキッチンへ行こうな」「分かった!」「ママはーい」 歩きだす。 アクナは先ほどの戦争を思い出した。 トウマをPKするつもりだったのだが、結局叶わなかった。 戦争では負ける始末である。(……超越スキルの焔落としまで使ったというのに) それも二回も。 酒ひょうたんの効果でクールタイムが短縮されており、スキルの回転率が上がっていた。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第177話 一夜限りの戦争

     その夜。 ノーファン村の広場だった。桜の木々が青々とした葉っぱをつけている。広場の入り口付近には噴水があった。女神像が肩に担ぐ壺から水が流れている。緩やかな夜風が吹いて、水面がちゃぷちゃぷと音を立てていた。 辺りには初心者プレイヤーの数が多い。時刻はゴールデンタイムを迎えており、学校や会社から帰宅した人々がログインしてきていた。朗らかな顔つきで梅おにぎりを食べている女性がいる。近くにいる男性プレイヤーが「そのおにぎりを分けてもらえませんか?」と頼んだ。女性は驚いたような顔をして男性から離れていく。 広場の中心に、伊達兵庫髷に打掛姿の女性が立っていた。左手に酒ひょうたんを握り、銀のキセルを吸ってぷかぷかとタバコを吹かしている。朧月だ。たった一人であり、誰かの訪れを待っているようだ。 彼女がつぶやいた。「今宵は月が綺麗よのう」 朧月の右足首には先ほどまではつけていなかったアンクレットが装着されている。 広場にトウマたちが入ってきた。トウマとベルフラウが先頭に立ち、肩を並べている。その後ろには他のメンバーたちが顔をそろえている。そして朧月の前で立ち止まった。 ただならぬ気配を察したのか、他プレイヤーたちが次々と広場を後にする。 可愛いは正義勢:本当に戦争になるの? 戦争があると聞いて:凄い緊迫感だなw 俺最強LV99:これは面白くなりそうだな。 レディミラージュ:グラスオースは忙しいわね。 ベルフラウが一歩前に出る。「こんばんは、朧月さん」「良い月でありんすねぇ、ベルフラウさんよ」 朧月がキセルを裏返し、炭を地面にこぼした。 ベルフラウの顔つきは険しい。「朧月さん、あたしたちと戦争するなんて嘘よね?」「本当でござりんす」「本当って、貴方一人しかいないじゃない」「一人だと、何かおかしいでありんすか?」「……どうしてなの?」「理由は言わぬよ」「弟さんのためなの?」「……ベルフラウさん」「何?」「もう、話すことは何もない」「……話し合いましょう! 朧月さん、あたしたちは分かりあえるはずよ」「いつか、共に酒を飲みたかったのう。……ステータスオープン」 朧月が水色の画面を出して操作した。 お互いのHPMPバーの上に旗が立つ。朧月の旗は青、トウマたちは赤だった。 ドンと音がした。 

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第6話 助けたのに

     村の北出口から外へと出る。 草原地帯があった。ところどころには岩がある。そこにいる魔物はフェアウルフの一種類。灰色の毛並みをした狼であり鋭い牙を誇っている。大型犬ほどのサイズだ。 狩りをしているプレイヤー数は多く、必死の形相でモンスターと戦っていた。 「俺の、俺の宿代をー!」「私はまだ朝食も食べていないんだからね!」「や、やべえやべえ、こいつら強えぞ!」  トウマは顔をしかめた。このゲームのプレイヤーはみんな無職なのだろうか? 分からない。(そう言えば、俺も朝食を食っていない) ドンと音がして、頭上に文字が表示された。  ――クエスト、フェアウルフの撃破  隣にいるウミ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第5話 梅おにぎり

     村の広場。 トウマたちは木製のベンチに並んで腰掛けていた。 ゲーム内は昼間であり太陽が出ている。近くにある桜の木が花々を満開に咲き誇らせていた。そよ風が吹いて、花びらがチラチラと地面を舞う。木枝が揺れる音がした。 大きめの梅おにぎりを、ウミが両手で持ってむしゃむしゃと食べている。モフモフと尻尾を振っており、ご機嫌のようだ。満面の笑みを浮かべている。 「美味しいですぅ、美味しいですぅ」「そりゃあ良かった」「ご主人様、ありがとうございます」「味わって食えよ」  梅おにぎり、200ヴァル。 道具屋で買ってきたものだった。手痛い出費である。 トウマは広場の光景を眺めた。中心には噴

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第4話 ヴァルの村

     ゴーレムを倒し終えると、ノーファンの村へと二人は転移した。 辺りには木造りの民家が立ち並んでいる。遠くを見ると森や山があった。地面は土。その道路で、トウマとウミは隣り合って佇んでいた。 「普通の村だな」「そのようですね」「とりあえず、狩り場に行くついでに、村を見て回ってみるか」「はぁい!」  二人で並んで歩き出す。 すぐに他プレイヤーの姿があった。 横切っていく通行人。その顔色は明らかに沈んでいた。他にも座り込んでいる女性がいた。壁にもたれかかっている男。空を見上げている魔法使いふう。誰もが死んだ魚のような目をしている。 異変に気づいたウミが声をひそめてつぶやく。不安に揺れ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第3話 排除

    ロッジのような一室。木造りの天井と丸太で出来た壁。そこのベッドにユウマは腰掛けていた。 ここがゲームの中らしい。 顔の前にはステータス画面のような半透明の青いボードが浮かんでいる。 システム音声が響いた。 「プレイヤー様。VALORIUMオンラインの世界へようこそ!」 「あ、はい」 「まず、プレイヤー名を決めてください」 「トウマで頼む」 彼の本名は冬野悠馬である。 「トウマ、その名前は使用できます」 「良かった」 「次にゲーム内職業を選んでください」 画面には様々な種類のジョブが並んだ。 そして右上には特別コード入力の文字。そこをタップして、暗記し

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